私は十数年間、市役所の行政職で働いてきました。
そこで色々葛藤しながら仕事をしてきましたし、課長や主幹級の上司や主事などの後輩などから色々と話しをしていますので、アウトラインは十分つかんでいると思います。
それについて、思うことを紹介していきたいと思います。
市役所職員に就職・転職したい方、市役所職員から民間へ転職したい方、家族や友人が市役所職員になられる方など、ご参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。

なお、どうしても私の主観が入ってしまいますので、あくまでひとつの意見としてご参考にしていただければと存じます。政令指定都市や田舎の役場など規模や地域が変わると異なる意見もあると存じます。なお、国家や県庁などは勤めておりませんので、不確かです。
また、メリット・デメリットを比較して仕事を決めるだけではないと存じますが、どうしてもわかりやすく指標にできるのが、メリット・デメリットになるので、それらで紹介していこうと存じます。

はじめに

私が勤めた市役所職員の情報は以下のとおりです。

  • 人口10万以上の地方都市
  • 入庁して4つほど部署を経験
  • 主幹級まで昇進していない

私が市役所職員として働いているなかで感じたメリットは以下のとおりです。

  • 毎年、必ず昇給がある(2000円~10,000円)
  • 毎年、必ず賞与がある(年間4.5か月分ほど)
  • 福利厚生が充実している
  • 利益追求がない
  • (部署による)定時で帰れる
  • (部署による)土日祝休み
  • (部署による)仕事の内容が生活に役立つ
  • (部署による)地域に貢献した実感が持てる

ひとつずつ詳しく紹介していきます。

毎年、必ず昇給がある(2000円~10,000円)

基本給は、〇号×級はXX円といったように号級表によって定められています。ネットで該当市の例規集などを検索すれば、出てきます。

1級あたり千円や千数百円ほどの金額の差があり、時期は役所によるかもしれませんが毎年4月に定期昇給があります。人事評価によって昇給幅が異なりますが、大体2000円~10,000円ほど昇給します。基本給の昇給なので、残業代(時間外勤務手当)や賞与(期末手当、勤勉手当)、地域手当に影響してきます。

また、主事や主幹、課長など昇進があると号が変わるため、そこでも昇給が発生します。昇給額は大体15,000円前後でしょうか。

人事評価の成績が悪くても数千円は昇給しますので、ありがたい反面、しっかり頑張っていても昇給に差があまり付かないため、納得いかない人もいるようです。「あいつはサボっていて、自分はこれだけ頑張っているのに、なんで給与がほとんど変わらないんだ」と。その気持ちは分かりますね。実際、上司よりも知識や仕事量が多く、周りからみてもしっかりやっていたとしても、ランクだけで上司よりも給与が10万も異なるなんてことありますからね。スタートアップなどの会社以外はどこの会社でも同じなのかもしれませんが、それに不満が募って辞めてしまう人もいます。

いくら定期昇給が確約されていたとしても、初任給や昇給幅が低い場合が多いので、民間企業に人材が流れて行ってしまう可能性はあります。年功序列を自分のなかでどう捉えるのかで変わると思いますが、「いつかは高い給料がもらえる」と今をぐっと堪えることができるのであれば、生涯年収的には良いと思います。

なお、号級表は毎年改定されます。流れとしては、国家公務員の給与を決める人事院が社員数50人以上の規模の企業の給与を毎年調査し、その平均をとって国家公務員の給与を内閣に提示し、承認されてから人事院勧告によって、国家公務員の給与が決定されます。その後、地方公務員は人事院勧告に則って給与を決定します。

ここで嬉しいポイントがあります。号級表の改定は毎年、年末頃に行われます。ここ数年、民間企業の給与が上昇していることもあり、国家公務員・地方公務員も給与が上昇しています。年末頃に号級表の改定が実施され同じ号級でも基本給が上がる場合、その年の4月に遡って4月~12月の9か月分の差額が年末調整と一緒に支給されます。そのため、年によっては10万円以上の追加支給があります。実際は4月から本当はもらえる給与が号級表の改定が遅れたためにもらえていなかっただけですが、これは素直に嬉しいです。(毎年、楽しみにしていました)

号級表の改定で基本給が下がった場合は、その差額を返納する必要はありませんので、そこは安心です。ここ数年は上り調子ですが、リーマンショックや東日本大震災などの時には実際に下がりましたので、またそういうことがあれば下がります。あくまで民間企業の給与の平均をいただいていると解釈いただければ大丈夫です。

毎年、必ず賞与がある(年間4.5か月分ほど)

民間では会社の業績と個人の成績によって賞与が決定されますので、不況の場合は賞与が無し…という事態もあります。一方、市役所職員は毎年、賞与がもらえます。(実際には賞与・ボーナスと言わずに期末手当・勤勉手当といいます。普段の会話では普通にボーナスって皆さん言われますが)

ただ、基本給と同様、民間企業の平均をとりますので、不況の場合は下がりますし、好景気であっても一気には上がりません。よく「公務員は利益を稼いでいないのにボーナス出るのはおかしい!」という声を聞くことがありますが、そういう声も影響して、大きく上がることはありませんので、例えばトヨタ自動車が年間7.8か月分!などと言っても、公務員は前年の+0.05か月分や+0.10か月分くらいしか上がらないです。ここは、良くも悪くもという感じです。

ただ、基本給や賞与はそこまで変動しませんので、家計のやりくりや人生設計を考えるのが楽です。そういう安定性ははっきりメリットだと思います。(私自身は大幅な昇給などは求めていないため、年功序列が合っています)

福利厚生が充実している

大企業には及ばないかもしれませんが、福利厚生は充実していると思います。

  • 有給休暇20日(翌年20日繰り越し制度あり)
  • 夏季休暇・誕生日休暇・子育て休暇・介護休暇など色々な休暇制度あり
  • 子育て休業、介護休業、自己研鑽休業など色々な休職制度あり
  • 配偶者手当・こども手当・地域手当・住居手当など基本給にプラスして毎月もらえる
  • 共済組合の医療制度、積立制度あり
  • 保養所や旅行先の入場券の割引制度あり

★ 休暇について
有給休暇は入庁してすぐに15日が付与され、その年度の1月からMAXの20日が毎年付与されます。これは民間企業より良いところなのではないでしょうか。会社によっては、初年度10日で段階的に付与日数が増えてMAX20日になるところが多いと思います。
また、有給休暇の繰り越しは翌年にMAX20日繰越せます。そのため、20日残っていれば、1月に20日付与されてMAX40日保持した状態になります。何かあったときに心強いですよね。

有給休暇以外にも、公務員はお盆休みがないため、その代わりとなる夏季休暇が3日~6日付与されます。(自治体によって日数は異なります。)大体6月~10月に夏季休暇を取るという感じです。(上司は親戚関係なのかよくお盆に休んでいましたので、部下はお盆は出勤という感じでした。といっても市民の方もお盆は役所がお休みだと思っている方が多いため、お盆期間は比較的暇です。)

そのほか、誕生月に1日とれる誕生日休暇、こどもがいる人はこどもが体調不良などの際にとれる子育て休暇が毎年10日ほどあったりとなにかと休暇制度は充実しているなと感じます。

ただし、休暇が取れるかは部署やその人によって変わります。有休もすべて消化している人もいれば、なかなか休めずに夏季休暇ですら取れていない人もいます。(夏季休暇は必ず取らないといけないんですが、10月末のギリギリにとったり、とったことにして出勤している職員すらいます)
制度自体は整ってはいますが、部署による…といったところが、悲しいところです。

★ 手当について
基本給に加え、色々な手当があります。主に配偶者手当・こども手当・地域手当・住居手当を挙げました。
配偶者手当・こども手当は会社でも導入しているところが多いのではないでしょうか。支給金額は自治体によって異なります。配偶者がいれば+5,000円、+10,000円だったり、こども1人あたり+10,000円、+15,000円だったり。最近は少子化もあり、配偶者手当の金額が減り、その分こども手当を増額している自治体が多いです。

地域手当は自治体によって、基本給に何%か加算される手当です。都心だと20%だったり、都会だと15%だったり、田舎だと3%だったり、0%だったりとマチマチです。ただ、この差は結構大きいため、できれば大きな自治体に入庁する方がオトクかなと思います。家賃や物価が異なるので、地域手当が導入されているんだと思いますが、都心に住まなければそこまで変わらないと思いますので、地域手当が大きいところの方が断然いいです。
住居手当は借家の場合に支給されます。そのため、一戸建てなど持ち家の場合は支給されないため、注意してください。(私はこれもあり、なかなか一戸建てを持つ決心がつきませんでした。月2万円で大きいですよね。持ち家でも固定資産税や住宅ローンなど同じように固定費はかかるのに、なんで持ち家は手当がないのって思っています。)

★ 共済組合の医療制度、積立制度について
医療制度や積立制度は民間の保険や積立より断然オトクです。共済制度なので、掛け金は低いですし、積立の利率が1%近くあったりと、市役所職員として長く勤めるつもりなら、早く入っておいた方がいいです。なお、積立の利率はどんどん下がってきていますので、いつまでのオトク!というわけにはいかないのかもしれません。

★ 保養所や旅行先の入場券の割引制度あり
提携しているリゾート・ホテル・旅館、プールなどの遊び場のチケット代などが、割引料金で購入できる制度があります。私の周りには利用している人はほとんどいませんでしたし、あまり利用者が少ないのかホテルの提携が終了したりしてサービスが少し悪くなったりしてきています。

続きは次の記事で…

すみません。ちょっと疲れました。続きの項目については、次回以降に紹介させていただきたいと存じます。長文になりましたが、ここまでお読みいただきまして、まことにありがとうございます。またよろしくお願いいたします。